駄ネタ
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……俺はぼんやりと、今日のやり取りを思い返した。
ボンベルタン厨房での会話は、確かこんな感じだった。
「だからね、ここはもっとPRするべきだと思うのよ!」
立って熱弁する空猫を前に、遠い目をしながら丸イスに腰掛けている俺とルカ。
げんなりしながらも一応相手にしてみる。
「……一応聞くが、空猫は何について力説しているんだ?」
「だ・か・ら! 今アルポータル公式で行われている人気投票の事よ!」
「ええと、あれはFLASHコスモスフィア2では誰の話が見たいのかっていう投票で、
別に人気を争っている訳じゃ……」
「先輩は絶対1位を獲るべきだわ! 世の中はまだ先輩の本当の魅力に
気付けていないだけなのよ! だからちょいっとアピールしなきゃ!」
「………もうどこから突っ込んでいいか分からないな」
「ネタになるならなんでもアリなのよ」
さらりと禁断の言葉を口にした後、こほんと咳払いをしてから空猫は揚々と言い放つ。
「だからこういうのはどうかしら?
先輩がプレゼントリボン姿で色っぽく『い・れ・て(はぁと)』って言うの!!
あぁっ……想像しただけで濡れそうだわ!!主に下が!!」
もう少し表現を遠慮しろ。
空猫の眼がヤバイ色を帯びてきた気がする。隣を見れば冷や汗のルカ。ドン引きだ。
「ねぇっ! いいアイディアでしょ? これなら女に餓えた狼どもはこぞって
先輩に入れまくってくれるわよ! ねえクロア君!」
「もう少し言葉を選べよ、空猫。それと俺に振るな」
「ええっと……。あの格好は寒いし、ちょっと着るのは恥ずかしいよ……」
ルカは空猫を刺激しないように、言葉を選びながらお断りの意を伝えようと
しているみたいだ。だがそんな弱い言い方で暴走中の空猫を説き伏せられる訳もない。
「何言ってるのよ先輩! いつも露出度としては大差ないカッコしてるのにもう!
はっきり言ってプレゼントリボンの方が身体に接着する部分も多くて、
風邪ひかないんじゃないかと思うわよ!」
「……まあ、それは確かに見ていて一理あるとは思うが」
「え、ええーっ!? クロアったら私の衣装、そんなふうに思ってたのっ?」
何故かここで、ルカが怒ったような声を上げた。
「それって何だか着てる、っていうよりかぶってぶら下げてる、って感じだしな。
ルカだって別に趣味じゃないんだろう?
動きにくそうだし、平時は私服でもいいと思うんだが」
ルカの衣装は可愛いと思っていたし、正直なところ鮮やかな生地から垣間見れる
その細い身体に、眼を奪れる事も度々ある。態度に出ないよう鉄の心を徹しているが。
だからこの台詞は、普段くらい好きな服を着たらどうだ、という意見の積もりだ。
だが、どうしたことかルカは非難がましい眼をこちらに向けている。
そしてぽつりと一言。
「……やっぱり、クロアって枯れてるよ、ね…………」
「やっぱり何と言っても、艶やかな肢体にリボンが巻かれてるのが
この衣装最大の萌えポイントなのよ! 男なら落ちるわよねクロア君!」
「だから俺に振るな」
……後はただ、取りとめなく空猫と言葉の応酬をして(会話にはなっていない)
逃げる様にボンベルタンを後にしただけだ。
そして宿でルカと別れて今に至る。他には特に何も無い。思いつくのはこれだけだ。
だから、今起こっている事の理解に苦しむ。そう、俺の目の前には―――
ルカが生まれたままの姿にプレゼントリボンを巻いて、立っていた。
顔も身体も、まとった紅のリボンに染まるように薄紅色を帯びている。
滑らかな肢体の輪線が、部屋の照明に曝され白く光る。
俺の眼には、眩しすぎるくらいだ。
「……ク、クロア……」
恥ずかしいのだろうか、吐息を震わせながらルカが俺の名前を呟く。
その瞳は、かなり思い詰めているようだった。
そういえばあの後、ルカは極端に口数が減っていた。
きっと空猫や俺の言葉で、悩んだり惑わされたりして、結果血迷ってしまったんだろう。
ほんの少し、ルカに申し訳なくなった。
「クロア……お願い。わ、私に……挿れて………?」
今日ほど、空猫の突拍子もない言動に感謝した事はないだろう。
ルカに二度目は、言わせなかった。
「―――おいで、ルカ」
恥ずかしさで気絶しそうになっているルカの手を引いて、
ベッドの上で彼女を優しく拘束する。
「……――んっ、ぁあっ、ひあ……ぁあんっ!」
―――リボンはすぐにほどかれ、ルカと俺は深く絡まる。
駄ネタ完
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since 2008/03/30
当時、素で間違えていたorz
ここではちゃんと「プレゼントリボン」に直した
投票時、前半部分の簡単な会話を思いついたのだが
とても公式には投稿できなかったのでこうなった
ついでにルカにも言わせてしまった